『十番虫合絵巻』(ホノルル美術館所蔵)は、天明2年(1782)8月 に、江戸の隅田川のほとり木母(もくぼ)寺で、幕府旗本川村蔭政の主催 で行われた「十番虫合」という雅びな催しを、テキスト(和歌と判詞) と絵で記録した二軸の巻物です。人々が左右に分かれて、鈴虫と松虫を用いた飾り台(洲浜)の趣向と、松 虫・鈴虫を詠んだ歌とで競い合いました。加藤千蔭(ち かげ)が虫(洲浜)の判を、賀茂季鷹(すえたか)が歌 の判を、行っています。